ユーロ/円相場は、6月7日の126.18円をボトムに、足元では131円水準まで切り返す展開になっている。日経平均株価、日本国債の不安定な値動きが続く中、ユーロ/円相場も一時は4月16日以来の安値を更新した。株高連動で構築されてきた円売りポジションが解消されたことで、主に円サイドからユーロ安・円高が促された模様だ。ただ、7日に6月米雇用統計が発表された後は再び投資家のリスク選好性が高まったことで、ユーロ/円相場も安値から大きく切り返している。
6月6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会であるが、政策金利は過去最低で据え置いた。また、ユーロ圏の信頼感改善で域内経済が今年後半に回復するとの見方を維持し、特に今後の政策変更の可能性を強く示唆することは無かった。ただドラギ総裁は、経済見通しには下振れリスクがあることを指摘し、必要な限り緩和姿勢を維持すると同時に、必要とあれば追加の政策対応に踏み切る余地があることを明らかにしている。全体的にはハト派色が強い印象だが、かといって近い将来の追加緩和をイメージさせることもなく、ユーロ相場に対する評価は中立的。12日のユーロ圏鉱工業生産、14日の消費者物価指数(CPI)などから、追加緩和の有無と時期を探る方対になる。
引き続き、焦点になるのはユーロよりも円サイドの動向になる。足元では日経平均株価の急落傾向に一定のブレーキが掛かっているが、11日の日本銀行・金融政策決定会合で債券市場の混乱に対してマーケットの不安心理を沈静化させることができるような対策を提示できるのかに注目している。日欧の金融政策環境の違いを考慮すれば、投資環境さえ正常化されれば再びユーロ高・円安圧力が強まる可能性が高い。ユーロの一時的な押し目との評価を維持したい。
今後1週間の予想レンジは、129.00~133.00円。